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なぜアメリカの人は転職を繰り返すのか?

シアトルでは桜がもうすぐ満開です。
卒業・入学・就職、といった節目の時期の到来を感じる季節になりました。

アメリカに留学するにあたって、解決したかった疑問がいくつかあります。
その一つが、「なぜアメリカの人は転職を繰り返すのか?」ということです。

この疑問が、最近解けつつあるように感じます。
日本とアメリカの雇用の大きな違いの一つは転職だと思います。

多くの人がイメージを持たれていると思いますが、その通りで、アメリカの人は頻繁に転職を繰り返します。
アメリカで18歳から48歳までの期間に就く仕事の数は11.7回と、驚きの調査結果も出ています。(アルバイト等も含んでいるためでもありますが)
(http://www.bls.gov/news.release/pdf/nlsoy.pdf)

なぜアメリカの人は転職を繰り返すのか?

複数の人に話を聞き、新聞や雑誌等で得た情報をもとに考える仮説を共有したいと思います。

①仕事の楽しさを大切にしているから
転職の風潮について話をすると、多くの人が仕事をする理由から話してくれました。

お金のためだけに働いているわけではないのだから、楽しくなくちゃ意味がない。

創造性に欠けていたり、仕事に対する意欲が低下してきたり、同僚とうまくいかなかったり…そんな理由も仕事を変える一因になるそうです。

お金を得るために仕事をする、というよりも、自分のやりたいことをやってお金を得る、という考え方が強いように感じました。
だからといってお金を気にしていないというわけではなく、昇格や昇給のためにスキルを磨く努力も絶やさないようです。

②実力主義
日本では「何年働いているか」で給与が決まることが多いですが、アメリカでは「何ができるか」で給与が決まります。
いくら長期間勤続していても、できることが増えなければ給与が上がることはありません。それどころか、リストラの危機にさらされます。
逆に言えば、できることは多くても、それを証明できなければ昇格・昇給は難しいです。
そのため、学校に通ったり資格を取ったりして証明できるものを得ます。

アメリカは「資格社会」とも言いますが、最近思うのは、資格を重視しているというよりも、資格によって自分の能力が証明される、というその後ろ盾を重視しているように感じます。
ニュアンスの問題ではありますが、「証明社会」といったほうがしっくりくるように私は感じます。

③通年採用
アメリカには決まった採用の時期はありません。
新卒者であっても、就活は学校を卒業してしばらくアルバイトをしてから、インターンをしてから、旅行をしてから、など様々です。

また、前述のように自分のできることを伝えるには証明が必要なので、在学中に就活をすることはほぼありません。(インターンはまた別ですが)
卒業しない限り卒業証明書はなく、まだ何もできないに等しいからです。

入社時期が様々なので、会社を辞めたとしても次の採用シーズンまで待たずに次の仕事を始めることができます。
そのため仕事をやめるタイミングも、始めるタイミングも自分次第なのです。

④頭打ちの給与
最も大きな理由はこれだと思います。
日本では勤続年数が長いほど給与が上がっていくのが一般的ですが、アメリカは能力ベースで給与が決まるため、同じ仕事内容、同じポジションに留まっていても給与が上がることはありません。
他の会社に動くことで給与の増額が見込めそうな場合、上司から転職を勧められることさえあるそうです。

“同じ会社に2年以上勤めた人は生涯賃金を比較するとそうでない人の50%以下の給与しか得られない”

という調査結果さえあります。
一社での平均の賃金上昇率は3%なのに対し、転職の場合は10~20%であるため、このような状況が生まれるそうです。

転職が多いと給与も信用も下がる日本とは大違いだと驚きました。

転職を促進する社会事情

このように転職の現状について知るにつれて、
確かに労働者にとって転職はメリットの大きいことだとわかりました。

でも、雇用者にとってはどうなのか?
新しく入ってきた人たちのトレーニングを毎日のようにしなくてはならず、そのコストがかさむのではないか?
優秀な人材の流出を防げないのではないか?

そんな疑問も浮かびました。

日本での新卒なら、一からのトレーニングが必要で、採用コストもその後の育成のコストも高くつきます。
でも、アメリカでは企業内でのジョブトレーニングはほぼ行いません。
その代わりにカレッジや大学で学び、証明書を得て、求められるスキルを身につけていることを証明した上で転職するそうです。
つまり、社会全体で転職を支える流れができているのです。

ある意味アメリカのカレッジや大学は職業予備校化しています。
そして日本の大学は就職予備校化しています。

どちらの傾向も、大学は学問を究めるためにあるべきだという意見には反しているようにも思えますが、社会のために学問を究めるという意味ではアメリカ型があるべき姿のように思えます。

日本の大学生生活は「就活のネタ作り」が中心にあります。
多くの時間をアルバイトに割き、ネタ作りのためにサークルに所属し、イベントに参加し、面接で上手く話せることが最終目標になってしまっています。
面接の際に聞かれる内容も、「何ができるか」というスキルではなく、「何をしてきたか」という経験が主です。

でも、アメリカの大学生生活は「就職ためのスキル作り」が中心にあります。
様々な授業を取る中で自分の関心を探り、専門分野を決め、就職に直結するような授業を取ります。
何をしてきたか、も重要ですが、それ以上に何ができるようになるか、必要なスキルから逆算して勉強に励んでいるように感じます。

考えなしの転職には賛成できませんが、自分の適性を見極めた上で自分の本当にやりたいことをするために転職をする、何度でも挑戦できる、そうして社会全体として人材を育成していくことは大切なことだと思います。

この記事を書いた人

Kayo Matsunaga
現在地:日本
福岡県出身 九州大学 教育学部 社会教育、生涯教育、大人の学び直し、あそび、公園 パン屋めぐり、散歩 トビタテ!留学JAPAN 3期生 シアトル、コミュニティカレッジ スウェーデン、デンマーク、フォルケホイスコーレ

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