Canpath
5079 views
2 応援!
0

ロンドンでの怖い話

僕の人生は至ってまじめで、根性もないので危険や喧嘩は極力回避するチキンな生活を送ってきましたが、1度だけ生命の危機を感じたことがありました。

これは僕が2004年にロンドンへ長期出張した時の話です。

長期滞在のため、現地の宿は前の会社の海外現法で1-bedroom flatを手配してくれてました。
場所はNorthern LineのTufnell ParkというTubeの駅から徒歩8分くらいの住宅街です。

Camdenというやんちゃな街(東京でいうと渋谷っぽいとこ)から2駅くらいであまり治安が良い場所ではなかったのですが、3か月くらいはそこで慎ましやかな生活を送っていました。

そんなある日、めずらしく残業で遅くなって夜11:00くらいに駅を降りると、改札出たところから

You wanna buy marijuana?

ってしつこく言い寄ってくる白人のジャンキー君1名。Waitrose(高級スーパー)で売ってるのなら考えたかもしれませんが、こんな怪しい奴からマリファナは誰も買わんだろう?ということでガン無視してflatに向かっていたとです。

flatに行くまでに大通りを曲がってちょっと静かな通りに入るところがあるんですが、そこでジャンキー君豹変!!

奴はその時僕が背負ってたリュックの肩紐を左手で突然掴み、右手をズボンのポケットに入れて「チャリチャリ」と金属音させながら、

I've got a knife.
Give me your money, or I'll stab your stomach!

とおっしゃるわけです。(´д`lll)

さー、ここで今日の英語レッスンです!

「I have a knife.」ではなく「I've got a knife.」。なんてブリティッシュな英語なんでしょう(うっとり)。
それでは、あまり使う機会のない表現なので口に出して言ってみましょう!

ギミ ヤ マニー、オア、アイル スタブ ヤ ストマック。

『刺すぞ、金出せ!』なんてシャレた台詞をリアルで(しかも異国の地で)聞けるなんて思ってもみませんでした・・・

車の通りはほとんどなく、住宅街を夜の11:00に歩いてる人なんて誰もいません。
運が悪いことに、その日400ポンド(当時8万円くらい)を銀行から引き出したばかり。しかも、僕はクレジットカードから何から、大事なものは全て財布に入れるタイプ。

『この財布渡すのは洒落にならんぞ・・・でも、刺されたら更に洒落にならんし・・・』と葛藤すること暫し、暗闇の中で奴のポケットに入れた右手が覗くのが見えたのです。

鍵・・・ナイフじゃないじゃん・・・

後にも先にも「キレる」って経験したのはこの時だけでした。
掴まれてた奴の左手を僕の右手で持って、僕の左手で奴のシャツの襟掴んで、必殺の左大外刈り炸裂!!

実は僕、中学校の3年間柔道部にいたんです。周り全員不良の中でまじめに練習してましたが、当時は身長160cmそこそこ、体重50kgの軽量級、トーナメントで相手を投げて勝ったことなど自慢じゃないですが1度もありませんでした。

でも、武道を嗜んだことがある方ならおわかりかと思いますが、武道って経験してたのとしてない素人とでは天と地の差があるんですよ。しかも、180cmくらいのやせ型って一番投げやすい体型なんです(笑)。
人生最初の一本勝ちはロンドンでした(爆)!

柔道ではよく「相手の体(たい=重心)をコントロールする」と言うのですが、その時の僕は正にその境地がはっきり分かりました。効き手ではない左投げにも関わらず、宙を舞う奴の重心が自分の掌中にある感覚を、スローモーションのように今でも鮮明に覚えてます。

かわいそうなことに、そいつの落下地点の近くに図ったかのようにレンガの門柱がありました。『ここに落とせばこいつの後頭部は門柱の角に激突だよね~』とかメチャクチャ冷静に考えながら、その通りの場所にジャンキー君をハードヒット!!

ちょとした沈黙の後、彼は後頭部を押さえながら

I'm bleeding! I'm bleeding!

と叫び始めました。
本当に流血してたかどうかは知ったこっちゃないですが、少し我に返った僕はウサイン・ボルト並みの速さでflatにダッシュで帰りました。

あんなに投げる時は冷静だったのに、ダッシュかましてる時が実は一番怖かったんです。追ってきてるんじゃないか?という気がして全く後ろを振り返ることができませんでした。

その後現法の社長に事の次第を報告して程なくBelsize Parkという超高級住宅街にヤサを変えてもらいましたが、なんとか日本男児の威厳はロンドンで保ったかな?と思います。

これから海外に留学しよう、住もう、という人に、この経験を元にした僕からのアドバイスです。

こんなこと、絶対マネしちゃダメです。\(*`∧´)/

今振り返れば、暴漢に立ち向かうという行動はアホ以外の何ものでもありません。単に運が良かっただけ。命を取られることに比べれば、お金で済むんなら安いものです。
できればお金は1カ所ではなく分散して持っておいた方がいいでしょう。

あと、もう一つ。

そこは日本じゃない、ということを常に自覚しましょう。

イギリスはアメリカのように銃の所持が認められてません。それでも、こういうことは普通に起こり得るんです。なぜなら、世界で一番安全な国「日本」じゃないからです。

夜中に酔っぱらった女性が住宅街を歩いて家まで無事帰れる国なんて日本くらいです。現法のナショナルスタッフにもこの話をしたら「電車がある時間でも遅ければタクシーに乗る、タクシーの運ちゃんに家のドアに入るまでお願いして見ててもらう」くらいして自分で身を守らないとダメ、とたしなめられました。

誤解のないように補足しておくと、「日本は安全な国」と言ってるのは現時点での(統計情報に基づかない個人的・感覚的な)比較ではというだけで、今後日本の方が危険になる、逆にニューヨークのように海外の都市でも治安が改善する場合も出てくると思います。夜の六本木なんてもう日本じゃない国みたいですからね。

このストーリーで言いたかったことは最後の「注意を払いましょう」という部分であり「怖いから海外には行かないようにしましょう」ということではありませんので悪しからず。

ってゆーか、ロンドン戻りてー!

この記事を書いた人

畝森(せもり) 浩一
現在地:-

畝森(せもり) 浩一さんの海外ストーリー