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おじさんの傘

いつも移動はバス。
想像するような、乗車ボタン、ICカード使えるようなものではない。
私がよく使う路線はトトロの映画に出てくるような日本の中古のバス。
すごい音をたててカーチェイスを繰り返しながら走る、ミャンマーのバス。
トトロバスの座席は窓側に木製の長いベンチのようなものがとりつけられている
だけのことも多いので、あまり座れる場所は多くない。
ちょっとドアから人がはみ出ていても乗るので車内はぎゅうぎゅう。

ここミャンマーでは、荷物が多いと、座っている人が荷物を持ってくれる。
最初は、盗られたりするのかと思って警戒していた私。
でも、みーんな当たり前のように、荷物を「持つよ?貸して」って言うし、
「持って」っていうジェスチャーもする。
私はいつもいつも荷物が多いから、席も譲ってもらうし、
重い分厚い辞書を抱えてもらったりする。

きのうは、偶然荷物が少なくて、そして人も多くなくて、座れた。
だんだん混みあう車内。目の前に来たのは傘を持ったおじさん。
無意識に私は手を出していた。
おじさんは微笑んで傘を私に手渡してきた。
傘を握りしめたときに
私はなんだかミャンマーに受け入れてもらった気がした。
たったこれだけのことだけど。

びっくりするぐらい優しいミャンマーの人たち。
いつもお世話になっているばかり。
いつか道案内をしてもらったお兄さんに言われた
「いいのさ。次は君が困ってる人を助けるんだよ」という言葉がよみがえった。
単純に、目の前の人を思いやる。
友達だから、とか、見返りがあるから、とかそういうのではない。
目の前の人がだれであっても、困っていたら助ける。
これで私もミャンマーの「思いやりの輪」に入れたのかな。

おじさんの傘をしっかり握りしめながら、そんなことを考えた。

この記事を書いた人

sukyishwe
現在地:ミャンマー
大学生 SSEAYP41st トビタテ一期生

sukyishweさんの海外ストーリー