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12月

1.勉学の状況
 相変わらず大した勉強をしていません、が、今月は5本のエッセイをとりあえず書ききりました(まだレポートが2本残っています)。
 今月はBasic of Finnish music educationの授業だけが週1コマずつ入っていました。このコースではフィンランドの小、中学校で行われている音楽教育について学びました。音楽教育の歴史やカリキュラムのような基本的な情報を得た後、実際の音楽の授業で扱われている曲を歌ったり踊ったり楽器を演奏したりすることを通して、フィンランドの音楽教育の教授法を少しずつ得ていきました。受講生が全員交換留学生だったので、音楽の教授法を学んだ実践として他の生徒にそれぞれの国の子供向けの歌を教える課題がありました。チーム日本は「アブラハムの子」を選び、ピアノを弾き狂ったように歌い踊りました。誰よりも私が1番楽しみました。
 私は学校教育に長く不信感と嫌悪感があり、大学でも教育学部にいながら科目教育を避け教職免許を取らず学校外教育を専門にしていました。ところが、この授業を取り始めてからは予期せず学校の音楽教育に浸かり、音楽教育の理論や歴史に関する論文を漁りガツガツと学んでしまいました。結局最終日まで1日中大学の付属小、中学校に入り浸り全学年全クラスの音楽の授業を見学しました。
 私が見た範囲ですが、フィンランドの音楽教育には、”遊び”の延長線上にある学びにきちんと教育哲学があり心打たれました。また、子供達1人1人が一個人の人間として、また学びの主体として、必ず尊重されていることも個人的に感銘を受けました。人々が学校教育の先に見ているものは、情報の暗記処理や技術取得のような目先のものではなく、持続可能な民主主義社会とそれを支えるために欠かせない自立した個人、人々の「豊かさ」のような長期的なものだと、考えています。教育に未来を感じました。

 秋学期の授業が全て終わりました。私が受講したコースの数は少ないですが、どの授業もただレクチャーだけに留まらず実践があり、息をし生きる教育だと個人的に思いました。森林学の授業では国立自然公園に行き、フィンランド音楽ではコンサートを聴き、学校外教育では市内の社会教育施設を訪ね、芸術は美術館に行き、音楽教育は授業見学と教授法実践の場がありました。フィンランドの教育を外側からなぞり学ぶだけではなく、私自身もフィンランドの教育に学習者として参加することで、学びとはそもそも何なのか、じっくりと考えさせられています。私は18年学校に通い、家庭教育や社会教育を受け、informal education含め自分が想像する以上に学びが日常にありました。私にとって、教育について複眼的な視点から考えることは、自分の人生や歴史を多様な解釈から捉え直すことにもなっている気がします。随分怠けたので、来学期はもう少し机に向かう勉強をしたいと思います。

2.生活の状況
 -20℃で太陽を3ヶ月見ていません。そしていきなり8kg太りました。短期間の急激な太り方だったので体の至る所に新しい「肉」を感じ面白がりました。

 今更アパートから徒歩1分圏内に図書館を見つけました。友人から日本語訳アメリカ文学を十数冊譲ってもらったので本を読みふける日々を送りました。

 23日の早朝から電車を乗り継ぎタンペレに行きました。フィンランド人の友人2人の実家がタンペレで、クリスマスを家族と一緒に過ごそうと前々から誘ってもらっていました。プライベートな空間に入れてもらいフィンランドのクリスマスを体験できて、初めて見る食べる聞くことが多く、常に五感を研ぎ澄ませていました。
 初日はタンペレ中心部のフィンランソン工場跡地や教会を周りました。赤煉瓦の建物と街の中心を流れる川が印象的な美しい街でした。図書館司書の資格を持つ友人の話を聞きながら図書館を回ることができたのはとても興味深かったです。光が差し込み明るい雰囲気で洗練されたデザインの広大な図書館は、カフェや写真の展示、音楽室も併設されていました。クリスマスにも関わらず多様な世代の多くの人々で賑わっていました。
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 クリスマスイブは、午前中にモミの木を切りクリスマスツリーとして皆で飾り付けをし、第2次世界大戦で亡くなった兵士の墓にキャンドルを置きに行きました。吹雪の中にも関わらず、墓地がキャンドルの繊細な光、人々の温もりに包まれていました。午後は、伝統的なインテリアのお家に大人数の親戚が集まり伝統的なクリスマス料理を食べました。フィンランド語のシャワーで言語学習のモチベーションに繋がりました。世界共通語だからといって英語を押し付けることは暴力ですね。夕方にはサンタクロースが颯爽と家に入ってきて、目を輝かせる子供達に山のようなプレゼントを配り皆でクリスマスソングを歌っていました。驚きました。私がイメージするサンタ;子供達が眠る夜中に煙突から侵入しプレゼントを置いて去るサンタは、アメリカのイメージだったそうです。サンタクロースはもともとフィンランドに起源があるという意味で、本物の大きなサンタさんに会え、なぜか私宛のプレゼントもたくさん受け取り、子供達に混ざって興奮しました。

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 残り2日間は友人の家で家族とクリスマス料理を食べ映画を観て会話し過ごしました。フィンランドのクリスマスは日本のお正月のようで、全国から年1度親戚が集まりゆっくりして過ごす日ということです。私は友人が少ない典型的な孤独な留学生なのですが、優しい愛すべき人々との出会いに恵まれてラッキーと思っています。心が温まりました。

 他は、教会でカレリアパイの焼き方を教わったり、クリスマスキャロルをあちこちに聴きに行ったり、ショートフィルム祭でフィンランド映画を観たり、博物館を回ったりと、田舎ながらも小さなイベントを見つけ雪の中遊びに行っていました。外国とは言えやはり人と自然がサイクルを作り生活している地球上なので、外に出るとそこには100%学びの要素や新しい発見、人との繋がりのチャンスがあり、毎回目が開く新鮮な思いがします。

この記事を書いた人

Akari Yamasakiさんの海外ストーリー