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日本人のアイデンティティ

あなたはなにじんですか?

この質問に対して、多くの人は迷わず「私は日本人です」と答えると思います。
でも、そもそもこの質問は何を聞いているのでしょうか。
出身地?国籍?身体的なもの?精神的なもの?
“日本人”ってなんなのでしょうか。

例えば、
見た目は完全に日本の人で話す言葉も日本語でも国籍がアメリカだから「アメリカ人です」と言う人がいれば、
韓国から移住してきて国籍はアメリカでも「韓国人です」と言う人もおり、
自分の宗教的なルーツに重点を置いて「ユダヤ人です」と言う人もいます。

どの答え方が正しい、というわけではないのですが、
様々な境遇の人の経歴を聞く中で、“自分は日本人である”という認識をあまりに当然のようにしていたのだと最近つくづく感じています。

アメリカで生活をしていると、自分は日本人だという自覚をすると同時に、自分は日本人だという認識が薄れてきます。
矛盾しているようですが、これは紙一重だと思います。

自分の精神的な拠り所や、考え方や振る舞いは文化的な影響が強く、それらを意識した際にはやっぱり自分は日本人だなと思います。
でも、人種も肌の色も違う人たちと同じバスに揺られて、同じ言葉を使っていると、自分はなにじんなんだろうか、とも思えてきます。

自分はいつから日本人だと思っていたのか。
何を根拠にそう思っているのか。
よくよく考えてみるとこれらにはっきりと答えることは難しいです。
でも、自分は日本人だという認識を持っていて、日本の環境の中で染みついた考え方で生きているということを自覚しておかなくてはならないと感じます。

特に日本人は同質性が強く、多くの共通項を持った人と生活をしています。
だからこそ自分が日本人であるという認識をする機会が少ないと思います。
周りとの調和が重んじられる社会の中で、みんなと一緒がいいことだと教えられ、その考えが深く根付いています。
少し努力すればみんなと同じにできるからこそそのような風潮があるのではないかとも思います。
世界で考えれば、肌の色の違いを合わせることはできないし、文化的背景からくる習慣を合わせることは難しい。
和を重んじることも大切ですが、多様性もまた大切で、異なる個人に寄り添う視点も持ちあわせることが必要だと私は思います。

考え方を形作るもの

例えば、日本人の思想の源泉はどこからきているのか。
宗教的なものもあれば、文化的なもの、教育的なものもあります。
強く自覚しておくべきなのは、無意識のうちに形成された“あたりまえ”があるということ。
また、自分はどの視点にたっているのかということ。

このことは、報道を例に取ると明らかかと思います。
日本で報道される、国際情勢の多くは欧米もしくはアジアのもの。
これは日本を中心に見て日本に関連する地域に重点を置いているからです。
でももしアフリカでニュースを見たら、報道される内容は全く異なると思います。

報道に限らず日常生活でも自分と結びつきの強い情報を得て、その情報を自分のものにして私たちは形成されています。
外部から得た情報はそのうち、自分の知識や考えとの境がなくなっていきます。
知らず知らずのうちに印象深い情報は自分の考えであり常識になっているのです。

グローバル人材とは?

私はずっと、“グローバル人材”という言葉に疑問を抱いていました。

英語さえ話せればいいのか、世界に進出できさえすればいいのか。

本質はそこではなく、世界がいかに広がろうとも自分を持って世界と対峙できる人材になるということにあると思うのです。
だからこそ世界を知ることと同時に自分を知ることが欠かせないと思っています。
自分はどんな特徴を持ち、どんな考え方をする人で、どの視点に立っているのか。
同様に相手についても知り、理解し、どのように対応していくのか。

留学を通して世界を知るだけでなく自分を見つめ直すことができればな、と思います。

この記事を書いた人

Kayo Matsunaga
現在地:日本
福岡県出身 九州大学 教育学部 社会教育、生涯教育、大人の学び直し、あそび、公園 パン屋めぐり、散歩 トビタテ!留学JAPAN 3期生 シアトル、コミュニティカレッジ スウェーデン、デンマーク、フォルケホイスコーレ

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