Canpath
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文化は共生できるのか

先日、Asian-Americanに関する講演会に行ってきました。
アジアの人々がアメリカに渡った歴史を学ぶとともに、考えさせられる指摘が多くあったので共有したいと思います。

アジアからの移民の歴史

1848年~1882年  カリフォルニアのゴールドラッシュ…一獲千金を求めて多くの人が移住
1869年前後    Central Pacific Railroadの建設…労働者の80%が中国からの移民
1850年~1924年  ハワイでの砂糖生産…労働力として数万人規模で移住
1899年      米西戦争(Spanish-American War)…フィリピンから多くの移民
1908,24,65年   移民法の制定…段階的に移民の制限がなされる
1970年代~80年代 ベトナム戦争…ベトナム、カンボジア、ラオス等から10万人以上の移民
1970年代~現在  中国からの急速な移民の増加

初期の移民はアメリカでの職や一獲千金を求めてやってきました。
しかし、ゴールドラッシュで金を見つけられたのはごく一握りの人だけで、職を得たとしても身体的に厳しいもので、苦しい生活を送らざるを得ない人も多くいたそうです。

現在、アジアからのアメリカへの移民は約1700万人おり、それはアメリカ全体の人口の約5.6%を占めます。
出身地域ごとの人口は以下のようになっています。
中国(370万人)、フィリピン(340万人)、インド・西アジア(310万人)、ベトナム(173万人)、韓国(170万人)、日本(130万人)

失われる文化

初期の移民たちは出身地域の文化、言語、服装、食事などもそのまま持ってやってきました。
でも、今では彼らの子孫はアメリカの多くの人と同じような服装で、英語を話し、アメリカらしい食事をしています。

最近やってきた移民に関してみても、文化はアメリカ化しつつあることは否めません。
他国で生まれた親世代が自国の考え方を持っていても、その子どもはアメリカの文化の下で育ちます。
同じ屋根の下で異なる価値観を持って生活することはどれだけ難しいことか、想像に難くありません。

文化が薄れ、やがてなくなってしまうということは少数民族の間だけで起こっていることではなく、身近に起きていることなのだと考えさせられました。

アイデンティティへの西洋型ステレオタイプの影響

洋服
"美白"化粧品
二重への整形

これらはなぜ人気を博しているのか。

アメリカや西洋の人に対する憧れが強いからです。

この講演の中で一番はっとさせられたのがこの指摘でした。

他の文化から学ぶことは確かに素晴らしいことです。
でも、それぞれの文化には歴史的、身体的、宗教的…様々な背景があります。
最近の流行を見ていると、それらを軽視してただ西洋を追っている傾向が否めないと思うのです。

アメリカで流行のファッションや食文化の輸入。

確かにオシャレかもしれない。健康的かもしれない。
でも私たちの身体的特徴や体のつくりはあくまで私たちの文化に即したものです。

自分たちの文化を軽視して、西洋型こそ素晴らしいとアイデンティティを失いかけているような気がするのです。

今後、移住の動きは世界規模でますます起こると思います。
それは単に人の移動だけを意味するのではなく、文化の移動とおそらく消失を意味します。

それぞれの文化を尊重し合い、生きていくにはどうすればいいのか。
自文化と他文化とをどう捉えるのか。

これらは今後の大きな課題になるだろうと感じます。

この記事を書いた人

Kayo Matsunaga
現在地:日本
福岡県出身 九州大学 教育学部 社会教育、生涯教育、大人の学び直し、あそび、公園 パン屋めぐり、散歩 トビタテ!留学JAPAN 3期生 シアトル、コミュニティカレッジ スウェーデン、デンマーク、フォルケホイスコーレ

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