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国際協力を仕事に

国際機関に転職し、フィリピンで働き始めてから5か月。大学院の学費をようやく払い終えた。長く辛い7年間だった。しかしまだ学部時代の貸与奨学金は返済への道のりがある。

今これを読んでいる人たちの中に、国際協力や人道支援を仕事にしたいと思っている人がいますか?僕はいると願いたい。でもその人たちに僕と同じ経験をしてほしいと思っているわけではない。

特に非政府で行う国際協力という分野は、日本に残るチャリティ偏見のおかげでお金にならない。つまり、チャリティでやってるなら職員が高給取りになるなんて許しがたい、そのお金は受益者に回すべき、という理屈だ。それ故この業界で百万円以上貯めるなんてことは、ロックバンドを作って有名になるのと同じくらい難しい。

「ボランティア」という言葉はいいイメージを持っていると思う。「国際協力」とよく対になって登場する。それは「仕事」という言葉に結びつくものだろうか。「仕事」は自分の生活を成り立たせるものであり、継続しなければ生活は成り立たない。無給あるいは薄給のボランティアしか国際協力できないとしたら、その国際協力は継続しない。継続しなければ、それは一つ間違えばただのバラマキで、協力したことにならない。つまり、国際協力業界が受益者にとって本当に有益なサービスを提供できるようになるには、国際協力に携わる人が仕事として続けられるものにならなければならない。離職率を下げれば、経験を積んだ国際協力業界人が増え、サービスは向上するし、受益者数も増えるだろう。

多くの日本の若者が、この仕事を夢見ていることを知っている。現に崇高な目的を持つ仕事であることは事実だ。だから、本気で国際協力をやりたい人は、一過性のボランティアとしてではなく、継続する仕事として携わってほしいと思う。ボランティアとして国際協力を始めた人たちの情熱と知識が、業界から逃げて行ってしまっていると僕は感じている。他の多くの仕事と同じく、経験を積むことができ、成長できて、トレーニングも受けられて、そして家族も養えるべき仕事だと思う。こんなことを言って、国際機関に逃げられた運のいいひとりのくせに、上の方から綺麗事並べるなって言う日本のNGOの人もいると思う。すまない。この仕事を続けたかったから、続けられる環境に移るしかなかった。学費を払い終えた達成感は、自分への憤りとして跳ね返る。

この記事を書いた人

一風
現在地:ミャンマー
オランダの大学院を出て人道支援を始める。現在国際機関に勤務。

一風さんの海外ストーリー